あらすじ:
おもちゃ屋のショーウィンドウを眺めながらサンタクロースにプレゼントのお願いをしていたトキオは、風邪気味なので家に帰って安静にしようとしたのだが、カレンに拉致されてサンタクロースの真歴史を探すため出発した。一方、第14倉庫課で仕事していたアクダーマは、定時になって業務終了したため焼き鳥とケーキ一切れと水道水で貧乏クリスマスパーティーを開催していたのだが、オヤダーマから出動命令が下って強引に出撃させられた。

2016年(現代)のグリーンランドに到着したトキオたちは、真歴史反応を探知した直後にアクダーマのトナカイメカに襲われて、お鼻くそ攻撃で大ピンチとなるのだが、突如現れたルドルフに助けられた。ルドルフの姿を見て逆上したビマージョはトナカイメカを突進させるのだが、ルドルフはトナカイメカを正面から受け止めると、ハンマー投げのように横回転させてから遠くに投げ飛ばして破壊した。

ルドルフがトキオたちをソリに案内すると、何故かトナカイもソリに乗り込んできて、ルドルフはソリを引っ張って走り始めた。「サンタクロースは実はトナカイの方だった」が今回の真歴史だったのだ。トキオたちがルドルフの家でもてなされていると、その様子を窓の外から見ていたビマージョは怒りに震え、かつて幼い日のクリスマスの夜にルドルフの姿を目撃して以来、夜一人でトイレに行けなくなっておねしょするようになったと告白した。

トキオたちはルドルフのプレゼント配りの手伝いを申し出るのだが、突然ルドルフは高熱を出して倒れてしまう。ピコボーの診断で風邪と診断され、トキオは誰が風邪をうつしたのかと憤るのだが、ペラリーノとピコボーに「お前が犯人ペラー!」「やっちまえピコー!」と袋叩きにされる。カレンは「真歴史も確かに大事。でも、もっと大事なものがあるわ。そう、それは…愛」とプレゼント配りの手伝いを申し出ると、ソリにトナカイとプレゼントを乗せてメカブトンで引っ張りながら出発した。

ビマージョは子供の頃の仕返しをするためルドルフの家に乗り込むのだが、ルドルフは病の体をおしてプレゼント配りに出発しようとしていた。ビマージョに本当は子供が嫌いじゃないのかと言われると、「ワシはこの世で一番子供が好きじゃ~!そう、子供のためなら、世界すら焼き尽くしてしまうほどにな!」と絶叫するのだが、子供の前だと緊張して超怖い笑顔になってしまうと涙を流した。子供たちのため無理して出発しようとするルドルフを見かねたビマージョは、ドクロクラフターに乗せてメカブトンの元に連れて行き、ルドルフはトキオたちにソリを引かせてくれと懇願。カレンは司令官の黙認のもとで「本日のスーパードッキングルーレット」を起動すると、ホタルジャイロとコスプレドッキングして警察王に変形。更に司令官はクリスマス出血大サービスで、「カットンボ」「ハチブルーン」「スズムピーカー」「アリボマー」「カマキリッパー」「セミトブン」「クモモーター」「サソモビル」「クワガッタン」と、これまで登場した全ボカンメカを出撃させ、分担してプレゼントを持って世界中に飛び立った。

アクダーマもルドルフと共にプレゼント配りに出発して、ついに最後の1軒となるのだが、トナカイはルドルフにプレゼントを渡して、自分の手で子供に渡すよう促した。戸惑うルドルフだったが、ビマージョは子供は現金だから多少怖かったとしてもプレゼントもらえただけで最後は嬉しくて笑ってしまうと説得して、その言葉に勇気付けられたルドルフはプレゼントを持って子供の部屋に向かう。ルドルフの咳き込む音で目覚めた子供は、最初はおびえていたがプレゼントに気付くと笑顔でお礼を言った。ビマージョの言葉で目が覚めたルドルフは、今後は積極的に子供に笑顔でアピールすると決意して、それが300年後の幼きビマージョのトラウマを生む結果となり、ビマージョは自らが生み出したタイムパラドクスに悩むのであった。

未来に帰還したアクダーマは、真歴史発掘を阻止したことで初勝利となり、大喜びでパーティーの続きをしていた。するとドアがノックされ、アクダーマはオヤダーマが来たのかと恐る恐るドアを開けるのだが、そこにはホールケーキと七面鳥とワインを届けに来たルドルフとトナカイの姿があった。


真歴史:サンタクロースは実はトナカイの方だった。

*ゲストキャラクター
ルドルフ:武虎
トナカイ:麦穂あんな
ラジオ女子アナ:松田利冴


善玉メカ:メカブトン、ホタルジャイロ(警察王)、カットンボ、ハチブルーン、スズムピーカー、アリボマー、カマキリッパー、セミトブン、クモモーター、サソモビル、クワガッタン
悪玉メカ:トナカイメカ

コクピットメカ:
栗メカ「クリー」
酢メカ「スー」
マスメカ「マスー」

おしおき:なし

視聴率:4.4%




感想:
今回は異例の展開尽くしで、40年のタイムボカンシリーズの歴史の中でも見たことのない異色のストーリーとなりました。メカ戦で善玉がメカを出さずに勝利という展開は、元祖ボカン第11話の「メカコンドル」という前例があるのですが、あちらはメカ戦前に丹平がネジを抜いていたことで空中分解して勝利しており、今回のように善玉が全く何もせず、ゲストキャラの力のみで勝利したというのはシリーズ初の珍事となります。Aパートに登場した悪玉メカが同じAパート内で爆発というパターンも、リメイクヤッターマン第25話の「ダイオーイカーン」、夜ノヤッターマン第2話の「デコピンメカ」以来の3例目となり、てっきりもう一度パワーアップして出てくると思っていただけに、本当にAパートのみで出番終了してしまったのは予想外でした。

メカ戦が終わった後は、ボカンシリーズとは思えないぐらい綺麗で感動的なストーリーとなり、善と悪が手を握り合って話を進めるという、イタダキマン最終回を逆インスパイアした感じが面白かったです。ダイナモンドもおしおきも無しで、プレゼントを2回貰おうと打算の上で手伝いを申し出たカレンが極悪人にしか思えない感じで、そもそもルドルフが風邪引いたのも体調悪いトキオを強引に拉致したのが原因であり、ここしばらくずっと株が下がり続けている印象であります。最後はアクダーマも一緒になってクリスマスパーティーを開催して終わりますが、あれは実際に参加したのか、それとも単なるイメージ画なのか、判断が難しいところであります。敵役を時空管理局に招待するとは思えませんし、ルドルフの招待だとしたら七面鳥のリボンの色が違っているのがおかしいので、イメージ画の可能性が高いように思えます。

これ以上ないぐらいに綺麗に終わって感動的な話となったわけですが、ただ一つ、ストーリー全体で見ると、絶対にやってはいけないことをついにやってしまいました。物語の根幹に関する部分が、またも曖昧…というか粉々に砕けてしまったからです。

今回は真歴史発掘よりもプレゼント配布を優先したため、ダイナモンドを発見できなくて真歴史をロックせずに終わりました。真歴史をロックするとその時代にアクセスできなくなるらしいので、2016年(現代)をロックするとトキオがタイムトラベルできなくなるので、あえてロックしなかったという見方もできます。

これまでカレンは、どんな酷い真歴史であっても任務だから発掘する、というスタンスで行動してきました。コロンブスの回もパンツの回も、カレン自身が酷過ぎると認識して葛藤していましたが、それでも任務だからと私情を押し殺してダイナモンドを発見してロックしてきたわけです。しかし今回は、「真歴史も確かに大事。でも、もっと大事なものがあるわ。そう、それは…愛」の一言であっさり任務放棄してしまい、司令官もそれを黙認しています。

子供の夢を守るため、という話もありますが、それなら桃太郎の真歴史も子供達のために隠すべきであり、おまけに2回プレゼント貰うためという打算の上で任務放棄したわけで、正当性も何もありません。しかも最後にアクダーマの元にルドルフが現れたことで、真歴史発掘に失敗しても歴史の流れに何の影響も与えない事が実証されてしまい、「達成しても失敗しても歴史と無関係」と完璧に立証されてしまいました。

真歴史を発掘する意味、意義、正当性、その全てが粉々に崩れたわけで、達成しても失敗しても歴史の流れとは無関係。ダイナモンドは何者かがばら撒いた歴史改竄装置であり、放置すると歴史が変わってしまうため密かに回収している、という説も考えていましたが、回収しなくても未来に影響なしと判明したのでこれも無し。真歴史という設定をもてあましているどころか制御失敗して暴走してきた感じで、きっちり完結するのか不安です。


*登場人物について

トキオ:風邪気味なのに拉致され、病原菌扱いでボコられる不幸な少年。

カレン:プレゼント2回貰うため親切を装ったゲスの極み。雪国でミニスカサンタのコスプレを披露。

ルドルフ:「子供のためなら世界すら焼き尽くしてしまう」と断言する危険思考の持ち主。世紀末救世主伝説に出てきそうな風貌をしている。

ビマージョ:どうやら大金持ちのお嬢様っぽい。

ツブヤッキー:ビマージョにキスしようとしてビンタされた。

スズッキー:再現Vの子役という例えが面白かった。